2010年3月25日 (木)

長期修繕計画Pro ~ その2

コンサルティング資料作成パート

1.現状分析

 標準様式で設定した修繕工事スケジュールと現行の修繕積立金水準に基づいて将来の収支を予測します。基金の割戻しのような恣意的仮定は一切排除します。段階増額積立方式もそのまま収支に反映させます。

 それに加えて性能向上工事の設定もここで行うこととしました。ガイドラインでは長期計画の中に適宜潜り込ませるように指導しているようですが、このような工事は資金繰りに余裕がある場合に行われるものですので、むしろ提案の一種と考えた次第です。

2.対応策A、B
 
 現状分析の収支に基づき、A:全て修繕積立一時金で対応、B:全て積立金水準の引上げで対応、の2つのケースを分析します。作業は一切不要で、現状分析-2,3のレポートが作成されます。運用益を組込んだモデルでは、この2つのケースの解を手計算で求めることは不可能ですが、ローン計算で使用する財務関数を応用することで全て自動的に計算されます。

3.総合提案

 積立金、繰入金、積立一時金、ローン、運用利率、これら5つのファクターを動員して資金計画(提案)を行います。ガイドラインが期間中の"総支出=総収入"を判断基準としているのに対し、ここでは"全期間において資金不足を発生させない"ということを基準としています。

 上の5つのファクターは互いに依存しているので上手にミックスすることは難しそうですが、本ソフトでは「提案入力」画面で一括してシミュレーションすることが出来ます。PDFサンプルには表示されていませんが、印刷対象外の部分にシミュレーション結果のグラフが表示され入力内容がリアルタイムでフィードバックされるようになっています。

 手順としては、まず穏当と思われる積立金引き上げ幅を設定し、それでも資金不足が発生する場合は一時金、ローン、繰入金引上げ(駐車場使用料引上げetc.)で対応するということになるでしょう。その内容も自動的にレポートとして出力されます。

 以上が本ソフトの概略です。私自身は修繕工事については素人ですので工事項目等については全面的にガイドラインに準じていますが、既に一部の方から工事項目を自由に設定できるようにして欲しいとのリクエストもいただいております。ご購入いただいた方のリクエストは可能な限り反映させるというのがモットーですので、建設的なご意見があればぜひお聞かせください。
 また管理組合様向けの簡易版(廉価版?)も作成したいと考えております。管理会社等から提出された"標準様式"の書類からポイントだけ転記してコンサル資料を作成するタイプのものです。もしご要望があれば開発を前倒ししてご提供したいと考えております。

長期修繕計画Pro

このソフトは国交省の長期修繕計画ガイドラインに定められた"標準様式"の作成と、そのデータを用いたマンション管理組合向けの資金計画コンサルティング資料の作成を同時に行うためものです。

"標準様式"と"コンサルティング資料"が別々に出来ると言うのもおかしな話ではありますが、役所が決めたものは尊重して、「両論併記」という構成としました。

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長期修繕計画Pro最新版PDF

(工事項目設定の自由度を大幅アップ)

内容を見ていただくとお分かりになるでしょうが、標準様式作成パートとコンサル資料作成パートが明確に分けられています。各パートで積立金決定の考え方や計算手法が異なりますので、ソフトの機能についても分けてご説明していくこととしましょう。

標準様式作成パート

1.周期の設定方法について

 ガイドラインでは修繕工事の周期設定が細かく定義されています。特に同じ工事項目について、「修繕vs取替」のように交互に実施するものを規定して工事の周期を細かく管理することを求めています。そこで、本ソフトではこのような工事項目を「連動項目」と定義して、入力画面で簡単に周期設定が出来るようにしています。また、修繕の実施時期が当初計画とズレた場合も想定し、連動項目の周期が自動的に収斂していくように設定しています。

マニュアル参照 manual.pdf」をダウンロード

2.修繕積立金の額の設定

 これはガイドラインに準じて、計算期間(新築30年、既存25年)における"総支出=総収入"となることを積立金決定ルールとしています。追加した機能としては、運用益を計算に加えるオプションを付けています。ガイドラインに沿った計算手順では運用益を組み入れることは無理ですが、バックグラウンドで迂回計算を行うことにより運用益を組込んでいます。

3.付属資料(様式4-4号、3-2号)

 本来はこれらを作成し、それに基づいて計画表や総括表を作成すると思われます。但し、本ソフトでは入力を簡略化するために「工事計画の設定」画面に入力欄を集約しています。よって付属資料には「工事計画の設定」画面の入力内容が逆に転記されるようにしています。管理組合が資金繰りを検討する際には付属資料の入力は不要です。

4.標準様式の問題点

 この標準様式は修繕積立金の水準についても検討対象にしたということで評価できます。但し、それで充分かと言うと疑問です。参考にさせていただいたマンション管理センターの長期修繕計画書サンプルを見ても幾つかの問題点を容易に見出すことが出来ます。

 そもそも「計算期間における"総支出=総収入"」という計算基準には根拠があるのでしょうか。同センターのサンプルを見ると、改正後の積立金水準でも一時的な資金不足が発生し、期間満了時にバランスして"総支出=総収入"、すなわち積立金残高ゼロとなるとされています。これは同センターがリフォーム・ローンの保証業務を行っているのでご愛嬌かもしれませんが、このサンプル事例でも少し期間を延長すると36期目に大幅な資金不足が発生することとなります。「計算期間満了時に積立金残高がゼロになる」という基準自体に問題があると言わざるを得ません。

 それと修繕積立基金の取扱いについても誤解を生じる恐れがあります。ガイドラインでは修繕積立基金は無条件で竣工後5年で割り戻すとされています。これは望ましい積立額が基金の設定額から影響を受けないための措置と思われますが、計画見直し時には紛らわしい設定です。どういうことかと言うと、見直し時は上の割戻しの条件は外れて基金も積立金残高として処理されるので、結局は積立金の計算に反映されてしまうことになります。先程のセンターのサンプルでも、3年目の見直しで残高に算入されており、新築時に計算される"望ましい積立金水準"より見直し時に計算される"望ましい積立金水準"が無条件で低くなるという珍現象が起きてしまっています。

 ここまで問題点ばかり述べましたが、ガイドラインには結果オーライとなる面があり、一概に間違っていると決め付けるのは禁物です。即ち、積立金決定時に運用益を計算に組み入れることが出来ないということは、逆に運用益の分だけ資金繰りに余裕が生じます。また、積立基金を実質的に計算から外すことで、新築当初にガイドライン通りに積立金水準を決めておけば計算期間満了時に基金の分だけバッファーが生じます。つまり期間満了時にこれらのプラス要因が作用して"適正な"積立金残高が確保される可能性が高くなるというわけです。ソフトウェア的にはトホホな感じもしますが、実務上は許されることなのかもしれません。

                         その2へ続く

2009年10月26日 (月)

個人と企業とでは「不動産コンサルティング」は異なるか?

はじめに

「不動産を扱うという点では同じであるから相手が個人だろうが法人だろうが一緒だ」という人もいるが、実際に企業を相手とすると、個人に対して有効であったことが法人に対しては通用しないケースが結構ある。私も法人相手の仲介業務を始めた頃、税金がらみの話をしていて相手企業と話が噛み合わなくて困惑した経験がある。そこで今回は、土地を売却する際の個人と法人の税金に関する考え方の違いを題材として、個人と企業に対する不動産コンサルティングの違いについて述べたみたい。

法人はドンブリ勘定

個人の売買仲介では譲渡所得税についての知識が不可欠であり、セールスやコンサルの重要な武器となる。反面、譲渡所得税の勉強ばかりしていると、知らず知らずのうちに「税金を出来るだけ減らして手取額を増やすことがコンサルティングだ」という考え方が染み付きやすい。

一方、法人には譲渡所得税などという税項目自体がない。一応、それに対応した「土地重課制度」というのがあるが、バブル崩壊以降大幅に簡素化された上、その簡素化されたものさえ現在停止中とあっては殆ど無いに等しい状態だ。コンサルで税を前面に出したくても、肝心の税がないのである。

つまり、個人コンサルの有力な切り口である「譲渡所得税に関する話」は法人に関しては通用しないわけだ。それでも未練がましく(?)法人税額控除後の予想手取り額を提示する人もいるが、悲しいかな企業が興味を持ってくれる可能性は殆ど無い。本気でコンサルィングをしたいのであれば、発想の転換をして別のアプローチの方法を見つけねばならない。

税務署的発想を捨てよう

税金の本は税務署出身者や税理士、言い換えれば「税金を取る側の人」が書いたものである。経済活動と税制は表裏一体であるとすれば、彼らとは反対の見方も存在するはずである。細かい税法のことは取り敢えず横に置いておき、もっと税金を払う側の立場で考え直してみる必要がある。

まず個人のケースから見てみよう。個人が土地を譲渡する場合、特殊なケースを除いて他の所得との損益通算は認められない。いくら利益が出ようが、譲渡所得税を通じて手取額が変化するだけである。つまり譲渡所得税とは、売主にとっては「現金化のためのコスト」なのである。個人のクライアントが税金の話に耳を傾けるのは、それが最大かつ(対応次第で)大幅に増減するコストだからなのである。

これに対し、法人はほぼ完全な「ドンブリ勘定」であり、また個人のように「現金化のためのコスト」となる譲渡税は存在しない。「含み益」が「実現益」となって「ドンブリ勘定」に放り込まれるだけである。それなら答えは簡単、企業が関心を持つとすれば、それは税金の問題などではなく「実現した含み益をどう経営に役立てるか」という問題である。当然、コンサルティングの核心もこの問題とならざるを得ない。

企業にとって利益は悪ではない

個人仲介の世界に長くいると、譲渡益は譲渡所得税という「コスト」を生むことから、なんとなく「利益は悪」であるとの感覚を持ってしまいがちだ。しかし企業にとっては本質的に「利益は善」である。もし悪となるとすれば、これは実現益を活用できなかった経営の問題である。

ある程度の利益が確保できないと思い切った経営改善を行うことは不可能だ。不良在庫や遊休資産の処理、拠点のスクラップ&ビルド等のような事業のリストラは勿論、新規事業を立ち上げる際にも、どこかで利益を確保しておく必要がある。事実、10年ほど前に新会計基準が導入された際には大企業も大規模な益出しを行う必要が生じた。その際「不動産の証券化」がコンサルされ、爆発的な不動産証券化ブームの呼び水となったことは記憶に新しい。

「実現益をどう経営に役立てるか」と考えている企業へ「利益が上がると税負担が増えて損だ」というスタンスで対応しても話が噛み合うわけがないのは自明であろう。企業が不動産を処分する意図や目的を正確に理解した上で、それに必要なスキーム、スケジューリング、リスク管理等についてプロとしてのアドバイスを行うことが企業が求めるコンサルティングなのである。

企業のニーズを把握できるかが鍵

ここまで譲渡所得税を題材として法人と個人の考え方の違いについて述べてみたが、「こんなことは不動産コンサルティングの対象ではない」、或いは「不動産会社にそんなものは求められていない」と言う人もいるかもしれない。しかし「相手のニーズを的確に把握する」というのは当たり前のことではないだろうか。個人に対しては「売却の動機」や「今後の方向性」を執拗に(?)ヒアリングするのに、企業に対しては相手のニーズすら把握できなくても良いというのは筋が通るまい。企業に対して偉そうに経営指南をする必要は全くないが、仮にも「コンサルティング」というからには、少なくとも企業と対等に会話できるだけの知識と見識が必要であろう。

2009年4月15日 (水)

底地の買取業者について(その2)

借地人との力関係

個人地主から底地買取業者へ所有者が変わったとしても、借地権者と底地権者の法律上の関係が変化するわけではない。「借地・底地の権利調整」で論じたように、両者にはそれぞれ強味と弱味を持っている。底地買取業者は地上げ業者に比べれば「紳士的」だと述べたが、これは程度の差であって、借地人に弱味があれば突いてくるのは当然である。要は、それが正当なものなのか、という問題である。

「地主から全ての債権債務を承継する」とは?

少数ではあるが借地人の中には地主と喧嘩することが趣味のような人もいる。地代の値上げには全く応じず、更新料など当然のように払わない。このような相手は地主にとっては悩みの種であり、底地をただ同然で売り払う気にさせた元凶となっているケースが多い。ところが、底地買取業者にとっては意外に与しやすい場合もある。

現在の日本の法律では、地主が借地人を立ち退かせる「正当事由」というものは実質的に存在しない。賃料水準について借地人と争っても労多くして益は少ないし、更新料などは「慣習」にしか過ぎず正式な権利でさえない。つまり借地人が既存の建物で現況の利用を続ける限り、借地人は地主より圧倒的に有利な立場にいると言える。

ところが、このような「地主と争う」タイプの借地人も、ひとたび家屋の建替えや借地権売却を行おうとすると一転して立場は弱くなる。地主がそれを拒否すれば裁判(又は調停)となるが、この際に過去に相場を無視して「踏み倒した」賃料や更新料が承諾料に反映されるのである。つまり地主と争うことにより得た経済的利益は、借地人にとって一種の「隠れ債務」となっているのである。

業者は地主から全ての債権債務を承継することとなる。故に、この「隠れ債務」も当然引継がれることとなる。仮にその底地がただ同然で売買されたとしても関係ない。このため、ひとたび建替え等が懸案となれば、業者は「地主と争う」タイプの借地人に対しては強い立場をとることができる。一方、過去に地主と何らトラブルが無かった借地人は、過去に地主と合意の上で取り交わした約束事は全て保護される。突然見ず知らずの不動産業者が地主となったからといって、何ら恐れる必要は無いのである。

突然、底地を買われてしまったら・・・

基本的には慌てないことである。名義人が変わっても、旧地主との間で交わされた合意や取決めは反故にされることは無い。「底地買取業のビジネスモデル」の所で述べたように、借地人は業者にとって一番手の「お客様」なのだから堂々としているのが正しい。後日なんらかの提案がある筈で、それが魅力的であれば応じれば良いし、嫌ならそのまま借地していれば良いだけの話である。早くして欲しいとの申し出があろうが、それは業者の都合であって、それに見合った条件面での譲歩等がなければ借地人としては急ぐ必要は無い。

一方、相手が業者だからといって交渉自体を忌避する人がいるが、これは大間違いである。変な人間関係が絡まない分、かえってスムーズに交渉できるケースも多い。また、業者が二束三文で底地を取得したことを知って怒る人もいるが、前述のバルクセールの仕組みから見てやむを得ない面もあり、この際は相手の懐具合など気にせず自分の損得勘定のみを冷静に判断するのが正しい対応といえよう。

ここで問題になるとすれば、何故だか自分の立場が強いと錯覚している「勘違い」業者に当ってしまった場合である。前述の通り、「隠れ債務」のある借地人に対しては業者は存外強い立場にあるが、「大人しい」借地人に対しては逆に弱い立場のはずである。ところが一部の業者は、「トラブルメーカーの借地人でも言うことを聞かせられたのだがら、大人しい借地人など簡単に牛耳れるはずだ」と勘違いしてしまうらしい。ほとんど「妄想」に近いのだが、こういう業者は「すぐ買え、高く買え」と変に確信をもって催促してくるので始末に悪い。

このような場合は、仕方ないので建替え等は我慢することにして、当分は今まで通り地代を払いながら様子を見るしかなかろう。向こうが間違いに気づいて態度を改めるまでは、交渉しても話は噛み合いそうも無いからだ。言うことを聞かないと法外な地代の引上げや莫大な更新料でも請求されるのではないかと心配される向きもあろうが、そんなものは断固として拒否してしまえば良いのである。拒否しても相手には打つ手など無いし(注)、また相手が打つ手など無いことに気づいてこそ、初めて交渉の素地が整ったと言える。無用な喧嘩は避けて相手が音を上げるまで待つ、これが肝要である。

(注)訴訟を起こされたとしても、周辺相場以上の賃料や更新料を課されることはありません。また、底地であることを承知で購入していますので、業者が皮算用した「得べかりし利益」などは損害賠償の対象になりません。

底地の買取業者について(その1)

はじめに

不動産業界には「底地の買取業」というジャンルがある。昔のバブル時代には大層流行した業態で、「××興産」とか「○○○土地」等という実質的に「地上げ屋」同然の大手業者も存在した。バブルが弾けてこれらの業者は消えていき、比較的地道に権利調整を行う業者だけが残った。しかし、数年前までの市況回復期には新たに参入してくる会社もあったようである。

底地の買取というと強面の「地上げ屋」を連想する人が多いかもしれないが、実態はもっと地味な仕事である。借地・底地の権利調整 の所で説明したが、借地権と底地権は本来一つであったものが引き裂かれて(?)出来たことから、互いに「不完全な権利」ある。借地人と地主が協力すれば大きなメリットが生じるが、長年の人間関係のもつれ(?)から当事者間で解決できなくなっているケースも多い。これを第三者的に権利調整することにより、業者と借地権者の双方に利益となる解決策を見出せれば社会的効用は大きい。その意味では、社会的には余り評価されてはいないかもしれないが、高い専門性を必要とする重要な業務ということもできよう。

しかしながら、利益が上がると聞くと訳も分からずに参入してくる業者がいることも事実であり、そのような業者がトラブルを起こしている話を最近よく耳にするようになった。まあ底地の買取業とは一種のトラブル産業であるから仕方がないと言えばそれまでだが、当事者の無知や誤解でトラブルになっているケースが増えているようである。そこでこの業態について簡単に説明してみることにしよう。

地主による"底地のバルクセール"

地主にとって底地はやっかいな資産である。相続税評価は高いが、地代による収益性は低く、かといって物納に利用することも難しい。いつの日か高い金額で資金化できるかもしれないが、それとて借地人の都合次第である。近い将来に相続の発生が予想されるような局面では、感覚的には殆ど「負の資産」といっても過言ではない。この際一気にオフバランスしてしまいたいと地主が考えるのも無理ならぬことである。

そこで考えられたのが、底地権の一括処分である。これは一種の「バルクセール」といえる。土地ごとに借地人との関係、地代の高低、更新到来時期等は異なるが、これらを勘案することなく一括して売却してしまうのである。買取った側は借地人との交渉を通じて底地の現金化を目指すわけだが、これには膨大な時間と労力を要する上、購入した全ての底地を現金化できるわけではない。当然ながらバルクセールでの価格は低くならざるを得ず、通常は高くても時価の1割程度と言われる。

※但し、本稿では底地を1件だけ購入するようなケースは除外しています

ここで留意すべきことは、底地の売却にあたっては地主の債権債務が全て買主に引継がれることである。底地権者が変わっても、それまでの賃貸関係から生じた債権債務はリセットされない。借地権者としての地位は保たれるが、仮に地主に対して「潜在的な債務」を負っている場合には、これもやはり底地の買主に引継がれるのである。

底地買取業のビジネスモデル

底地を買取った業者は当然資金化を図ることになる。実現性の高い順に並べると、その方法は次の4つである。

 1. 個々の借地人に底地を買取ってもらう
 2. 借地人と共同して、土地を所有権として売却する
 3. 等価交換(モドキ?)により、一部所有権として売却する
 4. 借地権を買取って所有権として売却する

2と4については、共同売却の方が一般的であるので借地権買取のケースは少ないようだ。あるとすれば借地権を安く購入できる場合に限られるだろう。また3番目を「等価交換(モドキ?)」としたのは、正式な再開発事業認定を受けたケースを除けば、業者が販売目的で購入した資産は交換の対象外となるからである。(詳しくは片割れ交換を参照)

これらの方法を見ると、全て借地権者の協力を必要としていることがわかる。1のケースでは「お客様」である。この点が「地上げ」が、金銭的補償はするにしても、基本的には地権者の排除を目的としているのとは根本的に異なる。

また、底地の買取は、バルクセールで購入した以上、「処理の歩留まりを上げないと利益が出ない」という宿命がある。私の知るこの業界のベテランは、「最初の1/3で資金回収、次の1/3が利益と人件費、残りの1/3は後のお楽しみ」というような意味のことを言っていた。目先の1件2件で暴利を貪ることができたとしても、全体の処理率があがらなければ何にもならない。悪評がたって他の借地人に警戒されてしまうことは避けねばならないのである。

以上より、賢い業者であれば借地人と無用なトラブルは起こさないように努める。まず毎月の地代をいちいち訪問集金することにより借地人との人間関係を作り、一つずつ処理実績を積み重ねることにより借地人たちの信用を得ることを目指すのが定石である。個々の貸地が20~30坪程度の小規模な区画であると、底地の買取費用も高が知れているため、意外と借地人が買取ってくれるケースが多い。勿論、個々の交渉では借地人と利害が衝突することはあろうが、これは仮に元の地主と交渉したとしても生じる種類のものである。

しかしながら、上でも触れたように、昨今は「勘違い」した業者が借地人と無用なトラブルを引き起こしていることも事実である。そこで次回は借地人との問題をもう少し詳しく述べることにしよう。

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