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借地・底地の権利調整(その2)

借地権価格+底地権価格=?

借地権と底地権を合体させれば完全所有権になります。借地と底地の権利調整とは土地の価値を借地権者と底地権者の間で分配することに他なりません。しかし、実際のコンサルティングに際して、ここから話をスタートさせるのは誤りです。

例として、借地権割合が60%の地域で借地権、底地権を単独で売却するケースを考えてみます。

借地権を単独で売却する場合、地価を100とすれば60で売却できるそうに思いますが、実際には借地権特有の煩わしさ(地主との関係、担保能力が低い etc.・・・)により2割から3割減価された42~48が相場となります。ここから更に名義書換料(買主の建替承諾料を含む)が引かれますので、実際に代金として残るのは40前後と考えられます。但し、これさえも地主との関係が良好であることが前提であり、地主からクレーム等が付いた場合には更に取引条件が悪化することとなります。

一方、底地権を単独で売却することはもっと困難です。借地人に買ってもらうケースを除けば、所謂「底地買取業者」に売却するしかありません。その場合の買取価格は良くて更地価格の1割程度にしかならず、場合によっては購入してもらうことすらできません。

つまり互いに単独で処分しようとすれば、借地権と底地権の価値は合わせてもせいぜい50前後にしかならないことになります。この差額は借地人と地主が睨み合っていることによるマイナス、言い換えれば権利調整に成功した場合の「開発利益」となるわけです。この論理で言えば、借地人と地主が協力するのは至極自然なことであり、交渉の焦点は「開発利益を如何に山分けするか」ということになります。

ところが、スタートで「土地の価値を地主と借地人でどう分けるか」とすると一転して話は複雑になります。一方の損は他方の利益となるため、協力することのメリットを忘れて分配比率の決定で紛糾することになりがちです。過去の地代水準や更新料の支払い状況を勘案して決めようということになりますが、これは過去の様々な経緯が絡んできますので一層拗れることにもなりかねません。

コンサルティングを依頼される場合は依頼者に上の理屈を理解してもらうのが肝要です。依頼してくるからには何かしら現状を改善したいというニーズがあるはずです。それでも過去に拘って「相手には一銭も儲けさせたくない」というような考えの人からの依頼は謝絶したほうが賢明と考えます。

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