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新興不動産会社が簡単に破綻する理由

破綻の連鎖
近年上場した不動産の流動化や証券化を謳い文句にする新興不動産会社の多くが危機的状況に陥っている。地価の上昇基調が下落基調に転じるや否や、業績不振は仕方ないとしても破綻の危機というのは酷すぎる。これではバブル崩壊で破綻した旧来型の”転売屋的”不動産会社と同じである。

バブル崩壊の学習効果なし
しかしながら、バブル崩壊を経験した新興不動産会社の経営者が市況の悪化に対して全くの無防備だったのは何故であろうか。サブプライムローン問題の発生は予期できなかったかもしれないが、何かの理由で市況が悪化する可能性は常に存在する。現在の新興不動産会社の惨状を見ると、短期的な業績だけを追求して市況悪化リスクは敢えて無視(若しくは考えないように)していたとしか思えない。

株式公開の功罪
これは新興不動産会社が新規上場企業であったことに起因すると考える。新規上場企業の経営者の最大の目標は会社の時価総額を上げることである。ライブドアに代表されるように、これを増資やM&A、さらには株式分割等を活用して最短の期間で達成することが理想である。会社の安定性や永続性はこれが達成された後の課題にすぎない。

リスクに目を瞑る?
このような新興企業は短期的な業績を猛烈に追求することになる。市況が悪化すれば業績を上げることは困難となるため、市況が良い間に大きな利益を上げなくてはならない。当然のことながら大きな利益には大きなリスクが伴うわけだが、リスクを恐れていては何も始まらない。それ故、将来市況が悪化するかもしれないと考えると、逆に目先のリスクを増加させるという矛盾した行動にでてしまう。その結果、実際に市況が悪化に転じた時には、既に制御できないほどのリスクを抱え込んでいたというのが現在の状況だろう。

ベンチャーの宿命
これが新興不動産会社に対してバブル崩壊の学習効果が全く働かなかった原因である。少し極端な論理と思われるかもしれないが、このような行動原理はベンチャー企業の経営者なら多かれ少なかれ必ず持っているものであり、ある意味正しい考え方だといえる。現在危機に陥っている新興不動産会社も金融危機さえ起こらなければ大成功を収めていたかもしれず、また、業績が好調なうちに創業者利益を手にした経営者は立派な「勝ち組」だと言うこともできるからだ。

銀行も同罪
それとともに銀行の融資姿勢についても問題があったと言わざるを得ない。不良債権処理であれほど苦労したにも拘らず、今回も 過剰融資→急激な締付け→不良債権化 という同じ轍を踏んでしまった。SPC、受益証券化、ノンリコースローンの導入等によって債権回収作業自体は楽になったかもしれないが、そういう問題ではないだろう。

破綻する理由
つまり市況悪化リスクに敢えて目を瞑っていた企業と、いざとなった際の逃げ方くらいしか考えていなかった銀行が今回のミニバブルの主役だったわけである。そこにお手本としていた米系投資銀行さえ破綻するような衝撃が襲ったわけであるから、これでは簡単に破綻してもやむを得ないのである。

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