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(その他-1) 農業委員会へ始末書を出す?

市街化区域内農地は原則として農業委員会への届出が受理されれば転用できる。現所有者が転用する場合は農地法第4条、所有権移転を伴う場合は同法第5条に基づく届出となる。ここまでは宅建試験の基礎の基礎であるから不動産業者なら間違える人はいない。ここで敢えて注意するとすれば、役所の「農業委員会」の窓口に申請書を出せば済むのではないということである。農業委員会の定例会で議題として上程され、その議事録に基づいて「受理証明」が発行されてはじめて不動産実務上は「受理」されたことになるのである。受理証明が無ければ所有権移転の本登記は絶対できないが、初心者はこれを理解せずにスケジュールを立てようとして大恥をかくことがよくある。

私は上記の内容は十分理解しているつもりだったが、或る時、気楽に4条申請を出しに行った農業委員会の窓口で「始末書を出せ」と言われて大いに困惑したことがあった。物件は市街化区域内の住宅敷地で10筆くらいに筆別れした土地である。測量ついでに合筆してしまおうとしたのだが、理由は不明だがその中の1筆が「畑」となっており合筆できなかったため、まず4条申請で農転してしまおうということにした。当然問題なく受け付けてもらえると思っていたのが、何故か窓口の初老の担当者は「農地でない土地の届出は受け付けない」と一歩も引かない・・・。

最初はさっぱり理解できなかったが、我慢してよく話を聞いてみると先方の論旨はこうであった。

農地法上の農地とは農業委員会の台帳に記載されたものである
法務局の台帳(登記簿?)に「畑」と記載されていても「農地」ではない
③当然、農地法は及ばないので所有権移転登記も自由にできる筈である
④ところが法務局は自らの責任回避のため農業委員会の受理証明を要求する
⑤当委員会としては本来「農地」でないものの申請を受け付ける謂れは無い
⑥どうしても受け付けてもらいたければ「始末書」を出せ

言われてみれば至極尤もな主張である。それまでは農転申請を登記手続きに付随する一種の「作業」のように考えていたが、この話を聞いて目が覚めた思いであった。早速反省して上記内容に添った「始末書」を作成し、後日丁重に持参したことは言うまでも無い。

この経験により「農地」というものがかなり理解できたと思う。それまでは単に手順だけを丸暗記していた諸手続きに関しても、その理由について勉強する契機となった。後年になって大規模な物流団地の開発案件に関った際にも、この経験は非常に役に立ったものである。今では、あの時の農業委員会の窓口の方に大変感謝している。

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