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(区画整理)仮換地の区割りは変更できるか (続き)

2) 従前地の机上分筆は不可だが・・・

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これは区画整理の仮換地(指定済みだが着工寸前の状態)を買収しようとした際に遭遇した事例である。

今回も大規模な案件で、対象地の所有者は図の2街区全体を仮換地として指定されていた。こちらが買収したいのは右側の街区で1000坪を超える。所有者の承諾も得たうえで区画整理組合へ調査に出向いたところ、大きな問題が存在していることが判明した。

従前地は広大だったが僅か2筆(仮にAとBとする)である。(ひょっとすると国土調査が実施されて合筆されたのかもしれないが、経緯は不明) その2筆に対する仮換地は図のAとBであるが、見て分かる通り、従前地Aの仮換地が左右の街区に分かれて指定されていたのである。換地処分が実施されるまでは従前地の登記簿しか存在しないため、これではどちらの街区も売買する際に多大な不都合が生じてしまう。

これをもって区画整理組合の明確なミスとは言えない。しかしながら、本事業は本土地所有者の積極的な協力があって初めて可能となったものであり、かつ自らの従前地を前倒しで提供し、自分の仮換地の収益開始まで1年超も我慢しているという事情があった。そんな地権者に対しては、あまりに配慮のない仕打ちであろう。

実はこの時点で本件土地の売買は無理かもしれないと感じていた。何故なら、従前地を便宜上机上で分筆して仮換地指定を変更することはできない、との判例が確定していたからである。既に形状も定かでない従前地を図面上だけで分筆するという行為自体が、実体の無い法律行為であるからということらしい。
こうなると換地処分がなされるまで通常の登記はできないことになる。保留地売買の手法に準じて組合との協定書等により所有権を保全することは可能かもしれないが、不動産のプロならともかく、普通の法人に理解してもらうのは至難の業である。

落胆しつつも、念のため善後策はあるかと尋ねたところ、組合も後から不備に気づき、対応すべく現在検討中だとの回答であった。今「秘策」を練っているのでもう少し時間が欲しいとのことだった。秘策などあるのかと半信半疑ながら、後日の再訪を約してその場は済ませることにした。

後日、その「秘策」が明らかとされた。なんと従前地がそのままの形状で残っており、それを正々堂々と分筆すれば判例に抵触しないというものだった。実は本事業地内にもう1社大規模な土地所有者がおり、そこが対象となる従前地をそのままの形状で使用収益していたのだそうだ。なんだか狐につままれたような話ではあるが、法務局をはじめ全て根回しはできているので大丈夫との説明であった。かくして日を改めて従前地の測量と分筆が粛々と行われることとなった。私も含めて関係者が立会いの元、測量士がピンを打ち込んで「分筆」作業は完了したのである。

このピンに境界標としての意味があるかは甚だ疑問ではあるが、本件取引に対しての効果は絶大であった。すんなり分筆登記も完了し、前述の事例とは異なり減歩率の見直しも不要であったことから、複雑な行政手続もなく仮換地の再指定は完了したのである。

(補足)
以上の2つの例は、多分に幸運が重なった稀有な例である。これをもって区画整理地内でも無理が通るとは思わないでいただきたい。むしろ普通の土地にはない独特なリスクや制約があることを知ることがの方が先決かもしれない。

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