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境界(その5) 測量士まかせで大失敗

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これは不動産仲介に従事して1年半くらいの頃にやらかした大失敗だ。直接的にミスをしたのは他人(測量士)なのだが、仲介をするからには全てに責任を持たねばならないということを痛感させられた案件である。

物件は図の黄色の部分。四隅のポイントははっきりしており、特に境界で揉めるとは思われなかったので、通常の実測売買とした。測量は売主の意向で地元の測量士に依頼したが、結果としてこれが誤りであった。

測量には自分も立会い、測量士に隣地の境界確認印を揃えてもらうことを確認した。そして出来上がった測量図はパソコンもあまり普及していない当時としては大変きれいな図面であった。図面の余白部に立会人の署名捺印欄が設定され、そこに肉筆で書かれた署名がずらりと並んでいた。私としては測量士がここまで念入りに作ったものに誤りがあるとは思われなかったため、碌にチェックもせずに残金決済の準備を始めてしまった。

ところが、この署名欄には図のピンクの部分の所有者が抜けていたのである。いい加減な話もあったものだが、チェックをしなかった自分の責任である。このことは、物件の引渡しも完了し、買主が塀を建替えようとして隣地と協議を始めた際に発覚した。ピンクの部分の塀については塀の中心が境界であると判断していたが、その隣地所有者は塀の外面が境界だと主張したのである。これも言い掛かりに近い話なのだが、境界確認をしていないのだから一方的に否定することも出来ない。当然、塀の工事が着手できない事態となった。

さらに運の悪いことには、その時点で私は別の支店に転勤していたため自分で事態の収拾を図ることも出来なかった。話が拗れて責任問題となれば、責めは当然自分が負わざるを得ない。新任地でも前任者から引継いだトラブルで苦しんでいた自分としては、正に進退きわまってしまった。

結論を言うと、このトラブルは買主(デベロッパー)が解決してくれた。クレームのついた部分は、仮に相手の言うことを100%認めたとしても面積的には僅か0.1坪程度である。買主がこれに見合った現金をポケットマネー(近隣対策費?)で支払って解決してくれたらしい。お蔭で私も責任を問われずに済んだ。

これ以降、測量士や司法書士に依頼した仕事についても必ず自分でチェックするようになった。すると意外に細かいミスがあるので驚かされた。酷いのになると、権利証の所有権移転の登記番号と抵当権設定の登記番号が入れ替わっているなどというものまであった。これは司法書士というより法務局のミスかもしれないが、すぐに訂正しないと後で大問題となる場合がある。本件のようにすぐ発覚するミスもあるが、気づかずに見過ごされているミスもあるに違いない。仲介者としての責任を負う以上、他人任せにしてチェックを怠ってはならないということを教えてくれた事案であった。

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