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権利調査 公道のはずが私有地?

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これは法務局での物件調査の際に僅かに手抜きしたことにより生じた痛恨のミスである。かなり特殊なケースではあるのだが、基本を忘れたことによりトラブルが発生した典型的事例だといえる。中途半端に知識や経験がついた際に起こりやすい例として紹介しておこう。

対象地は図の黄色の部分、面積700坪前後の空き地。前面は立派な町道で、数年前に整備(拡幅&舗装)されたのは現地を見れば明らかであった。また元は農地であったためか、地番の枝番が三桁にもなっていた。

法務局での調査においては、まず公図を閲覧し、(コンピューター化以前だったので)登記簿謄本の閲覧を請求した。図では示していないが隣地も含めると多くの筆数となり、かつ地番もかなり飛んでいた。適当に地番をチョイスして登記簿を4~5冊閲覧請求するとともに、地積測量図の閲覧も行った。但し、この際に図のピンクの箇所だけが地番が飛んでおり閲覧対象から漏れてしまった。

図のブルーの部分は全て町の所有であり、既に町道となっている。これは地積測量図からも明らかであり、かつ現地には町の設置した境界標も存在した。そこでピンクの部分も当然町道であると判断し、この部分の閲覧を省略してしまった。実はこれが後日大問題となってしまったのである

この土地は過去に所有権を巡る係争があり、裁判によって権利が確定したものであった。この点については判決文の謄本を取り寄せ念入りに確認していたつもりだったが、重大な見落としがあった。ピンクの部分は道路拡幅に際して一旦は町の所有となったが、その際に買収に応じたのは裁判で敗訴した側であり、判決が確定した時点で買収の契約自体が取り消されていたのである。

この結果、ピンクの部分は現況が町道であるが所有権は個人(本件依頼者)のままという状態となっていたのである。売買の際に解決してしまえば済んだのだが、本件が発覚したのは買主が開発行為の申請を行おうとした時だった。本件を解決することが開発許可の条件となるのは当然である。ところが、依頼者は裁判中に町が相手側に加担したことに不快感を持っており、この部分の町への再譲渡(又は寄付)には容易に同意しなかった。

このケースもミスが発覚した時点で私は既に新しい任地へ転勤していた。大ピンチかと思われたが、幸運にも依頼者の親族が新任地の近くに居住しており、そのルートからどうにか相手を説得することができた。町も過去の非を認め、当時の買収価格に金利相当額を上乗せした金額で買収してくれることとなり、漸く解決に至ることが出来たのである。

このミスは、直接的には隣地(道路部分)の閲覧を省略したことが原因である。さらに付け加えるなら、裁判がらみの物件についての知識、経験不足もあげられよう。いずれにしても僅かな手間を惜しんだことが大きなリスクを生んでしまった事案であった。

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