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長期修繕計画Pro

このソフトは国交省の長期修繕計画ガイドラインに定められた"標準様式"の作成と、そのデータを用いたマンション管理組合向けの資金計画コンサルティング資料の作成を同時に行うためものです。

"標準様式"と"コンサルティング資料"が別々に出来ると言うのもおかしな話ではありますが、役所が決めたものは尊重して、「両論併記」という構成としました。

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(工事項目設定の自由度を大幅アップ)

内容を見ていただくとお分かりになるでしょうが、標準様式作成パートとコンサル資料作成パートが明確に分けられています。各パートで積立金決定の考え方や計算手法が異なりますので、ソフトの機能についても分けてご説明していくこととしましょう。

標準様式作成パート

1.周期の設定方法について

 ガイドラインでは修繕工事の周期設定が細かく定義されています。特に同じ工事項目について、「修繕vs取替」のように交互に実施するものを規定して工事の周期を細かく管理することを求めています。そこで、本ソフトではこのような工事項目を「連動項目」と定義して、入力画面で簡単に周期設定が出来るようにしています。また、修繕の実施時期が当初計画とズレた場合も想定し、連動項目の周期が自動的に収斂していくように設定しています。

マニュアル参照 manual.pdf」をダウンロード

2.修繕積立金の額の設定

 これはガイドラインに準じて、計算期間(新築30年、既存25年)における"総支出=総収入"となることを積立金決定ルールとしています。追加した機能としては、運用益を計算に加えるオプションを付けています。ガイドラインに沿った計算手順では運用益を組み入れることは無理ですが、バックグラウンドで迂回計算を行うことにより運用益を組込んでいます。

3.付属資料(様式4-4号、3-2号)

 本来はこれらを作成し、それに基づいて計画表や総括表を作成すると思われます。但し、本ソフトでは入力を簡略化するために「工事計画の設定」画面に入力欄を集約しています。よって付属資料には「工事計画の設定」画面の入力内容が逆に転記されるようにしています。管理組合が資金繰りを検討する際には付属資料の入力は不要です。

4.標準様式の問題点

 この標準様式は修繕積立金の水準についても検討対象にしたということで評価できます。但し、それで充分かと言うと疑問です。参考にさせていただいたマンション管理センターの長期修繕計画書サンプルを見ても幾つかの問題点を容易に見出すことが出来ます。

 そもそも「計算期間における"総支出=総収入"」という計算基準には根拠があるのでしょうか。同センターのサンプルを見ると、改正後の積立金水準でも一時的な資金不足が発生し、期間満了時にバランスして"総支出=総収入"、すなわち積立金残高ゼロとなるとされています。これは同センターがリフォーム・ローンの保証業務を行っているのでご愛嬌かもしれませんが、このサンプル事例でも少し期間を延長すると36期目に大幅な資金不足が発生することとなります。「計算期間満了時に積立金残高がゼロになる」という基準自体に問題があると言わざるを得ません。

 それと修繕積立基金の取扱いについても誤解を生じる恐れがあります。ガイドラインでは修繕積立基金は無条件で竣工後5年で割り戻すとされています。これは望ましい積立額が基金の設定額から影響を受けないための措置と思われますが、計画見直し時には紛らわしい設定です。どういうことかと言うと、見直し時は上の割戻しの条件は外れて基金も積立金残高として処理されるので、結局は積立金の計算に反映されてしまうことになります。先程のセンターのサンプルでも、3年目の見直しで残高に算入されており、新築時に計算される"望ましい積立金水準"より見直し時に計算される"望ましい積立金水準"が無条件で低くなるという珍現象が起きてしまっています。

 ここまで問題点ばかり述べましたが、ガイドラインには結果オーライとなる面があり、一概に間違っていると決め付けるのは禁物です。即ち、積立金決定時に運用益を計算に組み入れることが出来ないということは、逆に運用益の分だけ資金繰りに余裕が生じます。また、積立基金を実質的に計算から外すことで、新築当初にガイドライン通りに積立金水準を決めておけば計算期間満了時に基金の分だけバッファーが生じます。つまり期間満了時にこれらのプラス要因が作用して"適正な"積立金残高が確保される可能性が高くなるというわけです。ソフトウェア的にはトホホな感じもしますが、実務上は許されることなのかもしれません。

                         その2へ続く

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