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相続税増税(1)  全体イメージ

平成21年に検討された相続税の増税案は、平成22年に前倒しで小規模宅地特例の改正が実施されたものの、基礎控除の引き下げにについては数年にわたり実施は見合わされた。もう実施されないのではと期待する向きもあったようだが、そもそも相続税の課税対象者の拡大を目指して立案されたものであり、消費税増税や選挙が一段落したことで平成25年度から実施されるのは間違いないなかろう。

課税対象者の拡大の標的(?)となるは従来相続税の課税対象外だった層、すなわち都市部の比較的評価額の高い住宅に住んでいるのに非課税だった人達である。そのために考えられたのが小規模宅地特例の改正と基礎控除の引き下げをセットにした今回の相続税増税案であり、増税の全体像を理解するにはこの2つを同時に検討することが必要となる。

※但し、平成25年度税制改正大綱では小規模宅地特例の一部が手直しされる見込み

相続増税案イメージ図

相続税評価額6000万円の居宅敷地を配偶者と子2人(どちらも被相続人との生計は別)で相続するケースである。
法定相続割合で土地を相続した場合、①小規模宅地特例改正前、②現行税制、③基礎控除引き下げ後を比較すると下のイメージ図のようになる。(小規模宅地特例の改正の詳細については後述)

Zou6000

課税対象ラインまでの余裕は、①68百万、②44百万、③12百万となる。仮に相続対象の建物と家財を10百万とすれば自宅等を除いた「その他の金融資産等」の金額が①58百万、②34百万、③2百万を超えれば相続税が掛かることとなる。
平成22年改正前であれば60百万超の資産を持っている場合にのみ相続対象となったものが、基礎控除引き下げ後は2百万超の預金を持っているだけでも課税対象となってしまう。これを見れば明らかなように、基礎控除という課税のハードルが高い間に小規模宅地控除の実質的な減額を行い相続財産評価額と基礎控除の差を縮小させておき、様子を見て一気にハードルを下げて課税対象者を増やすというのが当初からの筋書きだったのであろう。

ここでは居宅敷地の相続税評価額が6千万円のケースについて述べたが、相続人の構成や土地の利用状況によっては居宅敷地の相続税評価額が3~4千万円でも相続税の課税対象となる可能性もある。課税対象者が増加する以上に「最終的に相続税は課税されなくとも申告は必要となる人」、「申告が必要となるかのボーダーライン上の人」は劇的に増加するであろう。

ところが不思議なことに本税制改正案について詳しく解説した本や雑誌は驚くほど少ない。理由は定かではないがネットで検索しても具体的な内容のものはあまりヒットしない。私は税理士ではないので申告書の書き方などに興味はないが、この改正案が一般の人にどのような影響を与えるのかについては大いに興味がある。バブル期に大量の相続相談を受けた経験に基づいて素人なりに本税制改正案の意味や影響について検討してみたいと思う。

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