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相続税増税(6)  今回の改正は「薄く広く」ではあるが・・・

バブル期に小規模宅特例が拡充された理由

当時相続税が問題視されたのは、都内の普通の戸建住宅に住んでいた家庭で夫が死亡した場合などで相続税負担が過大で土地を売却せざるを得ず妻が住みなれた家に住み続けることができないケースが多発したことである。配偶者控除を利用してなんとか現金等で納税できたとしても肝心な老後資金を失ってしまうわけで、これでは老後の生活設計も立てられない。
また同居して親の面倒を見てきたり、或いは家業を継いで生計を助けてきた子供が土地を手放さざるをえないケースも多発した。それでも当時は土地が高く売れたから良かったのではないかと思う人もあろうが、同様に買い換える物件も高額で税金や様々なコストも勘案すると殆どメリットのないケースも多かったのである。

結果として過度の相続税負担は換金意思のない相続人にも売却を強制する効果を持ってしまったわけである。これが地域コミュニィティや商店街の破壊をもたらしたことが社会的批判を呼び、基礎控除の引き上げと小規模宅地特例の拡充へとつながっていったものと思われる。

「薄く広く」というには難解すぎる制度

これに対し今回の相続税改正案は①相続税を課す範囲を大幅に拡げるが、②相続税負担により配偶者が自宅売却に追い込まれることは出来るだけ避け、更に、③子が同居、もしくは家業を継いでいる場合は従来通り(場合によってはそれ以上)の優遇措置を維持する、ということを目指したなんとも欲張りなものである。平成22年の小規模宅地特例の見直しはそれに沿ったものであり、上記のような社会的批判を招かないように「薄く広く」課税する制度と言えなくもない。

しかしながら「薄く広く」というなら本来はシンプルで分かりやすい制度にすべきだと思うのだが実際はそうなっていない。相続財産が同じ位であっても、家族構成や居住形態が異なれば大きな差が生じる。特に厄介なのは遺産分割のやり方次第で課税されたり、非課税となったりすることである。今まで相続税の申告や納税と縁のなかった多くの人たちにとって、自分が課税対象や申告対象に該当するかを見極めることは困難だろう。今後アベノミクスで地価が上昇に転じれば首都圏の申告対象者がどけだけ増加するかは見当もつかない。平成27年の施行開始までに新税制の内容を広く浸透させることが必要である。

そこで、試みにどの程度の資産を所有していると課税対象となるかを判別するための早見表を作成してみることしよう。従来から相続税の課税対象だった人には不要だと思われるので、ここでは都市部の戸建住宅所有者で初めて相続税が課税されることになった人を対象とする。この場合の相続財産は一般的に

  土地+建物+金融資産等(その他資産)

となろう。バブル当時の経験から言うと、相談に来る人が最初に知りたがるのは ①課税されるのか、②預金等で納税できるか、③それを超えて持ち出しとなってしまうか、の3つであった。次回よりこの考え方に沿った早見表を用いて説明していくことにしよう。

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