7. 税金対策
税金対策は常に必要ですが、課税所得がキャッシュフローを大きく上回るようになると死活問題となってきます。資金繰りが圧迫されるのは勿論、実際の賃貸収入が目減りしているにも拘らず課税所得だけが増えていくのですから、竣工当初の税負担が極端に軽かった時期と比べるとオーナーにとっての重税感は大変なものとなります。
資金繰りを改善するための節税対策は、簡単に言えば、現金の支出が少なくて損金処理できる金額が大きいものです。端的な例としては、収益性の低い建物を解体し除却損を計上するという方法です。沿道サービス系の貸店舗(外食・物販等)が撤退し、既に投資額は回収されているが建物簿価だけは残っている、というようなケースがこれに当たります。
また、新規に建物を建築することも有力な手段です。設備は当然定率償却とし、諸費用についても出来るだけ初期コストが大きくなるよう会計処理することにより、数年間は課税ベースで赤字を計上することも可能です。
(新築時に施主から経費処理方法について細かい注文が付く場合は、他に税金対策を必要とする物件を保有している可能性が極めて高いと思われます。面倒がらずに誠意をもって対応すれば、貴重な情報や新たなビジネスチャンスが得られるかもしれません)
昔は建物躯体も定率法で減価償却することができましたので、当初10年間くらいはかなり多額の税務上の赤字を計上することが可能でした。これを利用して、次々に新しい不動産を取得することにより税金対策と資産形成を同時に達成することができました。勿論やりすぎて失敗したケースもありましたが、代表的な成功例としては西武グループや森ビル等をあげることが出来ます。
しかし今日では、節税により資金繰りを改善しようとするのには限界があります。同じ税金対策でも、相続対策用に管理会社を設立する等の方法は、かえって資金繰りを圧迫してしまいます。
私がコンサルティングを行う際には、資金繰り対策は原則として節税以外の方法(資産処分、借入条件変更etc.)を一番に考えるように勧めています。目先の節税対策にのみ汲々とすると、コンサルティングの幅を自ら狭めてしまいます。資金繰りさえ安定させることができれば、思い切った相続対策や資産のリストラを進めることも可能となりますし、怪しげな「節税商品」に引っ掛かるリスクも避けられると思います。
